ナムナム
2015/11/04
芥川賞をはじめ、数々の賞を受賞している超実力派、人気作家。
彼女は、新卒で入社した会社でパワハラに遭い退職。
その後転職しそこで小説を執筆、OL兼作家を続けていた時期もあったそう。
だから、彼女の作品は「職場」を舞台にしていることが多く、その人間描写、事象の描写がとってもリアル。
業種、業界が違っても共感を覚える読者は多いのではないでしょうか?
2015年、日本経済新聞出版社より出版 1600円+税
このインパクトのあるタイトル。
厳しい言葉の響きを持っていますが、実は中身はエンターテインメント性も強く、主人公の女性が1年のうちに「架空で異色の5つの職を転々とする」連作短編小説。
「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」燃え尽き症候群のようになって前職を辞めた30代半ばの女性が、職業安定所でそんなふざけた条件を相談員に出すと、ある、という。
そして、どんな仕事にも外からははかりしれない、ちょっと不思議な未知の世界があって―1年で、5つの異なる仕事を、まるで惑星を旅するように巡っていく連作小説。
単行本で350pとボリューミーですが、短編ごとに分けて読み進められるので、普段読書しない方にもおすすめ。
でも、きっと、面白くて読むのが止まらなくなってしまうはず…!
1つ目に職安に紹介されたのが「小説家を監視カメラで監視する仕事」。
座りっぱなしの姿勢とドライアイに悩まされながら仕事する日々だったが、実はその小説家は知人から何やら密輸品を預かっているらしく…。
次に紹介されたのは、バスの車内アナウンスに路線上の店や施設の宣伝文句を入れて編集する仕事。
ある時、主人公は奇妙なことに気づく。
それは、年下の先輩女性社員が車内アナウンスに新しい店の宣伝文句を入れると、それまでなかった場所にいきなり店が出来るという現象で…。
3つ目は、おかきの袋の裏に入れる「豆ちしき」を考える仕事。
主人公は、人気シリーズを生み出し売り上げに大きく貢献するのだが、それが思わぬ事態に発展し…。
4つ目は、官公庁から委託された組織で、自宅や店を訪問して期間毎にポスターを貼り替える仕事。
その地域の多くの家には別の団体のポスターも貼られており、それはある怪しげな思想団体のものだとわかる…。
最後は、広大な森林公園の奥にある小屋に勤める。
施設内で開催されるイベントのチケットにミシン目を入れるような単純作業をする日々だが、小屋を離れると「誰か」が「何か」が小屋の中に侵入している形跡があって…。
異色な仕事ばかりが舞台となる本作品。
なぜか、これを読むと「仕事がしたい!」と思えてくるんです。
本当に気軽に読めてしまうので、お仕事で疲れている方に読んでいただきたいです。
アレグリア=コピー機。人によって態度を変えるかのような機械を面白く描いています。
恋人のいない主人公は、同僚を好きだと仮定(仮想好き)してみることに。新しい、恋愛“しない”小説。
主人公は年収が「世界一周旅行クルージング」費用と同額と気づき、その額を貯めることを目標にします。
など、設定から面白く、ユーモラスで共感できる主人公を描いた作品が多いです。
是非、チェックしてみてください♪
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