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根性と笑いと感動の実写版『ど根性ガエル』とその最終回・ネタバレ有

2015年。「『ど根性ガエル』が実写版でやる、それも十数年経過したという設定で」。正気か!と思いましたが意外や名作。初回から最終回まで笑いどころ名言、笑いどころもあり、無理がありませんでした。『ど根性ガエル』、最終回も含めて振り返ってみましょう。

原作の『ど根性ガエル』

物理的にありえないと言われそうですが、真っ白いシャツを着た少年、ヒロシがカエルの上に倒れ込み、(アニメでは喧嘩で負けた)そのまま張り付いたカエルがピョン吉です。

原作版『ど根性ガエル』、記念すべき第一話です。この時点ではピョン吉も見た目、生態共に「普通のカエル」でした。

で、張り付いたら途端に漫画チックになるという。洗濯板ってところが時代ですが、某番組曰く電気洗濯機が出回った頃、「目が回るかもしれないから、車のタイヤにシャツを貼り付けて練習しよう」なんてシーンがあったとか。時代を感じさせてくれる作品なんです、『ど根性ガエル』は。

ちなみにアニメ版

アニメ版『ど根性ガエル』より、ヒロシと(貼りつく前の)ピョン吉。色が違いますね。でも逃げようとする努力は買います。

色々なドタバタを経ての最終回はどうやって迎えたのか、というと・・・。

漫画版『ど根性ガエル』最終回

ピョン吉と同じくシャツに張り付いてしまった「平面ガエル」のビッキーという女の子がいたんですが、この子とピョン吉が結婚し、子供も生まれて大団円的に終わった模様。何か色んな意味でものすごい漫画で、ものすごい最終回です。アニメ版はまた違う最終回だったみたいですが、そちらは見てません・・・。

カエルというかオタマジャクシである以上卵から孵ったんでしょうけど、その時点で既にシャツの中・・・?恐るべし、『ど根性ガエル』。

実写版『ど根性ガエル』

舞台は「現代」で、ヒロシが「ニート」。そんな始まりでした。

相関図

原作漫画が最終回を迎えて数十年後のリメイク。というか新作ドラマといった感のある『ど根性ガエル』。主人公が無職など、色々と世相を反映しているようですが、それだけじゃありませんでした。

「何故今『ど根性ガエル』!?」なんて思ったのも見るまで。ヒロシ、ピョン吉両者に共感し、ぐいぐい引き込まれます。最終回まで、一気に。

人物紹介

ヒロシ(松山ケンイチ)

ニート、駄目男などと称されますが、どうやら一時は営業マンをしていた模様。しかし、ヒロシ自身が庇ってきた、成績の良くない同僚が辞めてしまったのを機に自分も頑張るのが嫌になったとか。漫画版、アニメ版『ど根性ガエル』での威勢のいいヒロシを知っていただけにショック・・・と思いきやそれなりにやる気を出したり、工夫したり。少しずつ頑張りを取り戻していきます。何だかんだで口はうまいし、元気ですしね。

ピョン吉(声:満島ひかり)

ヒロシの親友、相棒。言葉で言い表せないほど更に強い絆で、ずっと結ばれている・・・しかし別れは来る。そんな予兆が第一話の時点で描かれていました。即ち、「寿命」。最終回一話前やエンディングが色々と予想させました。ちなみにヒロシの前の職場に同行させてはもらえなかったようです。原作同様、「貼りつく前」はただのカエルでした。あとカエルと話ができる上、カエルの世界では「英雄」だそうです。

色々なところで言われていますが、満島さんのピョン吉、うますぎです・・・。アニメ版の声と似ている気が。

ソルマックのCMより。『ど根性ガエル』と健康ドリンク、合いすぎです。アニメ版ピョン吉の声と満島さんのピョン吉の声、似てると思いませんか?ちなみに、千々松幸子さんという方です。

母ちゃん(薬師丸ひろ子)

年齢差を見る限り20歳でヒロシを産んだようですが、ダメ息子と化したヒロシを見守りつつ、言うべきところは言う、そんな母ちゃんになってました。ちょっと美人すぎる気もしますが、「母ちゃん」感は出てましたね。ピョン吉の異変に最初に気づき、「ヒロシには内緒に」との約束も守ってくれていました。最終回での名言が泣かせます・・・。

ゴリライモ(新井浩文)

一番成長したのがこのキャラではないでしょうか。ジャイアン系のガキ大将というか番長キャラだったのが、パン工場の社長。しかも、市長に立候補まで。最終回はもちろん、作中でも経営者として、大人としての魅力を見せてくれました。

五郎(勝地涼)

ヒロシの子分的キャラ。しかし、現在では警察官。つまり、公務員。相変わらずヒロシとは仲が良く「ヤンス」口調ですが。『ど根性ガエル』で外見的変化が一番大きいキャラかもしれません。

京子ちゃん(前田敦子)

『ど根性ガエル』のヒロインといえばこの子。しかし16年も経つと色々あります。ヒロシ以外の男性と結婚し、離婚。つまり、出戻り。何があってそこに至ったのかは詳しく語られませんでしたが、相当やさぐれてました。

京子ちゃんのおばあちゃん(白石加代子)

ドラマ版『ど根性ガエル』の名言を多く生み出し、劇中人物だけでなく視聴者にも勇気とエールをくれました。最終回でちょっとした事件が起きるのですが、その時は胆の座った態度も見せてくれたものです。ヒロシと気が合うようで、上品な中にも親しみやすさ溢れるおばあちゃんです。

よし子先生(白羽ゆり)

『ど根性ガエル』のヒロインその2。いや、3でしょうか?よし子先生、若すぎる。じゃなくて、担当科目が変わっているようですが、相変わらずの美人教師ぶりです。梅さんの子とは憎からず想っているようですが・・・?

梅さん(光石研)

「宝寿司」の店長、何でしょうね、年齢的に。相変わらずよし子先生にストーキング的な行為(はしごを使ってまで授業風景を見学)しつつ、プロポーズしようとしてはできない、というお約束を作ってくれました。最終回一話前ではピョン吉に「プロポーズの仕方」を伝授されたり、嫉妬したり。働き者の江戸っ子です。

町田校長(でんでん)

25年間プラス16年を足して「41年」の教師生活を送り、今では校長です。『ど根性ガエル』原作やアニメでは何か報われないキャラという印象だったような。しかし41年も教師をやっていると、おばあちゃん同様に名言も出るものです。最終回一話前、ブラスバンドで見事な指揮を見せてくれた上、その後に名言を。

とまあ個性豊かなメンバーでお送りするのは、いずれ来る別れや、それぞれの歩んできた道と、その過程で得たもの、失ったものなど。下町人情や笑いというオブラートに包んだ感動系の物語でした。

第7話より。6話目ラストで「寿命」のことを告白したピョン吉。ヒロシはそんなピョン吉を励ますため、ピョン吉が見たがっていた富士山が近くに見える温泉宿に泊り、近くにあるカエルを祭った神社で長寿の御祈願。カエルたちがピョン吉をカエルの国に招待したがっているというので、そのまま別れを決意しますが・・・?色々とほっとさせる描写があるのが『ど根性ガエル』のいいところ。

最終回一話前(ネタバレあり)

町で主催される「福男、福女レース」。毎年ゴリライモと戦っては負けていたヒロシは猛特訓。

『ど根性ガエル』最終回一話前のエピソード。母ちゃんは短距離の地元記録を持っているそうな。ヒロシもピョン吉の為(ゴリライモには)負けていられません。

ゴリライモの経営する会社の主力商品「ゴリラパン」。実写版『ど根性ガエル』ではある意味キーアイテムでした。最終回一話前、ゴリライモが新戦力となるパンの考案を社員たちに依頼し、通ったのは・・・。

見た目は兎も角おいしそうです。ピョン吉も好物らしいですし。

こちらのピョン吉パン。京子ちゃんの案、ということになってましたが、「いい話」が嫌いなヒロシが代わりに出してもらったようです。もちろん、ピョン吉には内緒で。最終回一話前、ピョン吉が「死ぬ」かもしれない時でも、登場人物の誰一人として絶望せず、ピョン吉さえヒロシを応援しようとサプライズを計画していたのはよかったです。

優勝したらお神輿を担ぐという大役を任されます。「ピョン吉と一緒に!」というヒロシの願いと、ヒロシを応援したいピョン吉の気持ちと。ピョン吉の「サプライズ」には、母校である中学校の吹奏楽部も協力してくれました。この下町感が『ど根性ガエル』なのかなあ、と思ったり。

『ど根性ガエル』のタイトル通り、根性でずっとついていたピョン吉ですが、それでもあらがえないものはありました。どんな困難も「無理だろう」と思われることも成し遂げてきたピョン吉のこのシーン。最終回ではなく、その一話前ではがれるの!?なんて思ったり、喪失感に見舞われたり。

『ど根性ガエル』の最終回は・・・?

そんなこんなで寂しい最終回を迎えましたが、ある謎が浮上するのでした。少しずつ、「食べ物」が盗まれるという奇妙な事件が発生。

最終回より。心なしかさびしげなヒロシ(左)。背中に蛇の絵がついたシャツを着た、ヒロシにそっくりな男も登場。『ど根性ガエル』ならぬ「ど根性ヘビ」か!?なんて思っちゃいましたが。

ピョン吉は剥がれただけで生きてるんじゃないか、張り付いた状況を再現すれば戻ってくるんじゃないかという提案が・・・。最終回にそんな胸厚な展開を持ってくるとは気が抜けません、『ど根性ガエル』。

ここまで書いといてなんですけれど、やっぱり実際にご覧になった方がいいです。『ど根性ガエル』実写版は、最後まで「根性」という、とりようによっては重苦しく受け止められがちな言葉を明るく描いてくれました。最終回ラストが何だか「続編」を期待させますが、やるんならSPで見たいかも?

一言で言えば、最終回にふさわしい最終回、といったところでしょうか。『ど根性ガエル』らしい、とも言いましょうか。「結局どんなだよ」って?ご覧ください。

総括

制作サイドのことを考えると気軽に「名作」などと称賛しづらいものがあります。けれど、そんな影の部分まで見てほしいとは思ってないでしょう。実写版『ど根性ガエル』、最終回に託されたメッセージ、エール、その他もろもろを受け取って、自身の根性に変えればいいのかもしれません。

放送時期も相まって、暑苦しくなりがちな根性という言葉を爽快に変えてくれたスタッフに改めて敬礼です。最終回で終わり、ではなく、最終回の後でも、劇中の物語りは続いていくんですね。

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